五島列島と捕鯨の関わりは古く、また深い。五島各地に残される解体場跡や鯨の供養碑などがそれを物語っている。慶長年間に始まり約400年間にわたり伝えられて来た捕鯨は五島地域内では昭和40年代に終わりを告げたが、昭和の捕鯨船団や、のちの調査捕鯨に従事する者の中に五島出身者が多数いたということからも、五島と鯨がいかに深いつながりを持ち続けてきたかということが判る。現在は、鯨肉消費という形で食文化を継承するのみとなったが、五島人の鯨好きが昨日や今日に始まった事でないのは明らかである。前置きが長くなってしまったが、この塩くじら(ハシ皮)は、文字通り鯨の皮の部分であるが、最も一般的に食べられている鯨食ではないだろうか。湯通しして酢味噌や酢醤油で頂くのであるが、生姜などの薬味を添えると、また一段とおいしさが引き立つ。